死亡保険は、万が一死亡したときに遺された家族に保険金が支払われる保険で、「定期保険」「終身保険」「養老保険」と3種類の保険があります。
この記事では2つ目の「終身保険」について、保険期間や種類、メリット・デメリットについて解説します。
まず、終身保険の保険期間と種類について、「定期保険」や「養老保険」との違いに留意しながらみていきましょう。
終身保険とは
終身保険とは、生命保険の中の死亡保険の一種で、加入してから一生涯にわたり、亡くなったときや重い障害を負った時の保障が継続する保険です。
途中で解約をした場合には、払込期間に応じた解約返戻金を受け取ることもできます。万が一のことが起きた場合には、残された家族の学費や生活資金、葬儀関連費用に充当することができます。
終身保険は、養老保険と同様、万が一のときの保障と将来のための貯蓄、双方の役割を兼ねそなえた保険であるといえます。
終身保険の特徴
つぎに、終身保険の特徴についてみていきます。
解約返戻金
先ほど、終身保険と養老保険は万が一のときの保障と将来のための貯蓄、双方の役割を兼ね備えている、と述べました。
比較検討の対象となることが多い終身保険と養老保険ですが、養老保険は満期が来たら解約返戻金が自動的に現金化されるのに対し、終身保険は解約をしないと現金化されない点が大きな違いとして挙げられます。
養老保険・終身保険ともに、早期の解約においては、多くの場合、返戻金は払い込んだ保険料の総額を下回ることが多いです。
保険期間
保険期間について、終身保険はみずから解約したり、保険料未払いで失効したりといったことがない限り一生涯保障が続きます。
一方で、養老保険は保障期間が決まっており、保険期間が過ぎれば保障は終了します。
終身保険の種類
終身保険は種類が多岐にわたるので、代表的な4種類をご紹介します。
低解約返戻金型終身保険
払い込み期間の間に解約してしまうと、支払った保険料よりも解約返戻金が低くなる終身保険です。
解約返戻金が低い期間がある代わりに、払い込みが終わったあとに解約返戻金が払い込んだ保険料を上回ることがあります。
積立利率変動型終身保険
市場金利を元にした利率の見直しに応じて、保険金や解約返戻金の額が変動する保険です。リスクについて十分に理解することが必要になるため、専門家のアドバイスを参考に選ぶことをおすすめします。
変額保険(終身型)
保険会社の運用実績に応じて、保険金や解約返戻金の額が変動する保険です。リスクについて十分に理解することが必要になるため、専門家のアドバイスを参考に選ぶことをおすすめします。
外貨建て保険
外貨で保険料の払い込み、運用、受け取りを行う保険です。
一般的には、円建ての終身保険と比較して、予定利率が高いことによって得られるメリットも大きいです。
但し、為替相場の影響を受けるので、為替リスクに対する正しい理解が必要です。専門家のアドバイスを参考に選ぶことをおすすめします。
終身保険のメリット・デメリット
つぎに、終身保険のメリット・デメリットについてみていきましょう。
終身保険のメリット
終身保険のメリットとして、代表的なものは次の5つです。
一生涯の保障を得られる
終身保険の最大のメリットは、保険期間が一生涯継続するため、何歳で亡くなっても、保険金を確実に受け取ることができる点にあります。
そのため、万が一のことがあった場合に、確実に保険金受取人にお金を遺すことができます。
解約返戻金を受け取ることができる
続いて、終身保険を解約した場合でも、払い込み期間に応じた解約返戻金が受け取れるという点もメリットのひとつです。
早期の解約の場合には、返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回ってしまう可能性が高いので注意が必要ですが、反対に、払い込み期間が完了すれば、解約返戻金の額が払込保険料総額を上回るようなケースもあります。
解約返戻率は、加入する保険商品の種類や予定利率など、その他の条件によって異なりますので、加入の際には専門家のアドバイスを参考にすることをおすすめします。
保険料は加入時から上がらない
満期時の更新ごとに保険料が上がっていく定期保険とは異なり、終身保険は加入時からずっと保険料は上がりません。長期的な支出の見通しが立てやすいのもメリットのひとつです。
生命保険料控除を受けられる
4点目として、終身保険もそのほかの生命保険と同じく、年末調整の際の生命保険料控除の対象となります(一般保険料控除)。
会社員のほか、一定の収入を得ているパートやアルバイトの給与所得者であれば、勤務先の年末調整で申告することによって、生命保険料控除を受けることができます。
相続税の生命保険の非課税枠を利用できる
最後に、これは終身保険に限ったことではありませんが、相続税の非課税枠を利用できるというメリットがあります。
契約者と被保険者が同じで、保険金の受取人が法定相続人の場合、法定相続人の人数×500万円分の非課税枠を利用することができ、大幅に節税することができます(2023年10月時点)。
なお、税務の取り扱いについては、専門家の助言を仰ぐようにしてください。
終身保険のデメリット
終身保険のデメリットとして、代表的なものは次の3つです。
定期保険と比較して保険料が割高
終身保険の場合、同じ保険金額・保険期間で比較した場合、定期保険と比較して保険料が割高になります。
短期間の払込期間で途中解約することになると、解約返戻金は払込金額を下回ってしまうので、毎月無理なく保険料を支払うことができるのか、ご自身の経済状況に合わせて、よく検討する必要があります。
インフレの影響で、資産価値が目減りする可能性がある
終身保険にはインフレの影響を受けるリスクもあります。死亡時や解約時に、契約時より物価が上昇していると相対的に受け取れる保険金ならびに解約返戻金の価値は減少します。
ただし、将来のインフレのリスクに対応する終身保険も存在します。
無計画に始めると見直しが難しい
終身保険は、基本的に長期にわたって加入することが前提となっています。
そのため、ライフステージや経済状況の変化によってこまめに保険の内容を見直すと、メリットを享受することができません。
一度加入してしまうと、見直しが難しいため、加入の前には専門家のアドバイスを参考にして、検討をすることをおすすめします。
終身保険の必要性が高い人・低い人のタイプ
最後に、終身保険の必要性が高い人とそうでない人、それぞれのタイプについてみていきましょう。
終身保険の必要性が高い人のタイプ
終身保険の必要性が高い人の特徴は次の3点です。
相続について心配がある人
まず、相続時の分割対策や減税対策などの必要性を感じている人には、終身保険を活用することをおすすめします。
先述したように、終身保険を活用すれば、生命保険の非課税枠を利用することが可能になります。この仕組みを利用すれば、より多くのお金をご遺族に渡すことが可能になります。
また、不動産や自社株のように、分割の難しい財産を遺す場合、遺留分対策として終身保険を活用することもできます。
相続対策は、専門家のアドバイスが非常に重要になります。
一生涯の保障を持ちつつ、まとまった資産を家族に遺したい人
終身保険の場合、保障が一生涯継続するので、契約者の年齢に関わらず、確実に保険金を受け取ることができます。
そのため、万が一の場合に備えつつ、ご家族に資産を遺したい人のニーズに合致している保険です。
葬儀関連費用など、かかる可能性の高い費用に対しては、終身保険で準備すると合理的といえます。
保障を受けつつ、教育資金を準備したい人(一部解約)
終身保険を活用することで、保障を受けながら教育資金を準備することができます。
お子さんの教育資金が必要になる時期までに払い込みを終え、終身保険を一部解約することによって、解約返戻金を受け取ることが可能です。
終身保険の必要性が低い人のタイプ
終身保険の必要性が低い人の特徴は次の3点です。
毎月の保険料をできるだけ安く抑えたい人
終身保険は一生涯保障が継続するというメリットがある反面、他の保険と同条件で比較すると、毎月の保険料が割高に設定されています。
毎月の保険料をできるだけ安く抑えたい場合は、終身保険ではなく掛け捨てのタイプの保険をおすすめします。
途中解約の可能性が高い人
終身保険は、長期間の加入を前提としているので、途中解約してしまうと、解約返戻金が大きく減額になってしまうような商品もあります。
収入が安定していないような状況では、他の生命保険を検討した方がよいかもしれません。
定期的に保険を見直したい人
ライフステージや経済状況の変化によってこまめに保険の内容を見直したい場合も、長期の加入を前提としている終身保険はおすすめできません。
まずは、ライフプランで最低限必要な金額を把握して、どのような保険がご自身に適しているのかを確認しましょう。複数の保険を組み合わせたり、最適な条件の保険を選択するには専門的な知識が必要です。まずは専門家に一度相談してみましょう。
まとめ:いろんな種類がある終身保険、迷ったら専門家に相談しよう
終身保険は、生命保険のなかでも最も種類が多い保険です。この記事をご覧になっている方のなかにはどのタイプの終身保険に加入するか迷っている方もいらっしゃると思います。
終身保険は、一生涯保障が継続するというメリットがある反面、長期にわたって加入をしないとメリットが享受できない可能性もあります。一度加入すると見直しができる項目が少ないため、加入する際はご自身のライフプランに適した保険期間・保険金額かどうかをよく検討する必要があります。
「せいほの窓口」では、FPと宅建資格を所持する生命保険のプロがおひとりおひとりのライフプランを丁寧にヒアリングし、生命保険への加入も含めて最適なご提案をさせていただきます。ぜひ、お気軽に無料相談予約よりご相談ください。