為替市場で円安のトレンドが続くなか、ドル建ての保険への加入のタイミングについて取り上げた記事を目にする機会が多くなりました。
保険のプロとしては、短期的な為替相場の変動に加入を左右されるのではなく、保障が必要なタイミングでご自身の目的に適った保険に加入を検討すべきであると考えます。
この記事では、ドル建ての保険の加入にベストなタイミングはあるのか、ドル建て保険への加入を検討する際にチェックいただきたいポイントについて解説します。
1. ドル建て保険の特徴
最初に、ドル建て保険の特徴について理解しましょう。
為替レートの影響を受ける
ドル建て保険はドルで保険料を支払い、保険金・解約返戻金もドルで受け取ることができる保険です。
ドル建て保険では、円での払い込み保険料や円での保険金の受け取りの際、そのときの為替レートの影響を受けます。
毎回支払う保険料の支払金額が変動する
保険会社は、実際には円で支払われた保険料をドルに替えて、運用します。
前述したように、保険料は為替レートの影響を受けるので、為替相場が円安ドル高であれば、支払う保険料は高くなり、反対に円高ドル安であれば安くなります。
解約返戻金も為替相場の影響を受ける
支払う保険料や支払われる保険金と同様に、早期で解約した場合の解約返戻金も為替相場の影響を受けます。
保険金や解約返戻金を日本円に換金して受け取る際、契約時よりも円高ドル安であれば受け取れる金額が少なく、円安ドル高に進んでいれば受け取れる金額は多くなります。
ドル建て保険には円安・円高どちらの状況で加入すべきか
ドル建ての保険では、保険金や保険料が為替レートの影響を受けて変動することがわかりました。
それでは、ドル建て保険に加入するタイミングとしては、円安・円高どちらのときの方がメリットが大きいのでしょうか?
円安・円高のタイミングでの加入時の保険料と保障額は以下のようになります。
保険料 | 保障額 | |
円安時 | 高い | 大きい |
円高時 | 安い | 小さい |
例えば、円安のいま、ドル建ての保険に加入すると、保険料はドルを円換算するため、円高のときと比較すると高くなります。一時の経済的な負担は増加しますが、円高のときと比較すると保障額も大きくなるというメリットがあります。
ドル建て保険の保険期間は長期間にわたるものがほとんどなので、その間に為替相場は変動します。長期的な視点で考えた場合、加入時に円安か円高かという視点よりも、保険期間を通じた為替に対する理解が重要です。
長期にわたるほど、為替リスクは平準化されるため、一時のトレンドに左右されないようにすることが大切です。
為替リスクへの対策としては、「通貨分散」の考え方があります。
必要な保障額に対して、ドル建て保険「だけ」で準備するのではなく、円建て保険でも準備をしましょう。
ドル建て保険に加入する前にチェックするポイント
それでは、ドル建て保険への加入にベストなタイミングとはいつなのでしょうか。具体的には、以下のチェックポイントにすべて該当する場合は、ドル建て保険への加入を具体的に検討してもいいでしょう。
目的に合っているか
まず、ご自身の保険に加入する目的と得られる効果が、ドル建て保険と一致している場合です。
生命保険としての本来的な役割である万が一の保障を目的とした場合、ドル建て保険は、円建ての保険や他の金融商品よりも支払った保険料に対して得られる保障が大きいです。
解約返戻金を目的とした加入の場合は、他の金融商品も併せて検討することをおすすめします。保険を通じて、ドル資産を持つということを目的とした方もいます。
商品のリスクについてよく理解しているか
次に、ドル建ての保険の商品の特性である、為替リスクについてよく理解している場合、加入を検討してもいいでしょう。
ドル建ての保険商品は預貯金とは異なり、為替リスクが伴うため、円で換算した際の元本は保証されていません。
円建て保険よりも予定利率が高く、より良い運用成果を期待できる反面、為替の影響を直接受けやすい商品性を理解しておくことが大切です。
自分の性格に合っているか
最後に、ドル建て保険の特性とご自身の性格が合っているかを確認しましょう。
ドル建て保険の特性とご自身の目的が合致しやすいのは、以下のようなタイプの方です。
・為替に対するリスクを許容できる人
・資産運用のひとつとして保険を活用したい人
ドル建て保険に加入する前には、為替に対するリスクを許容できるか、資産運用のひとつとしてドル建て保険を検討しているかをいまいちど確認すると、加入した後のミスマッチを防ぐことができます。
まとめ:ドル建て保険に加入するタイミングに悩んだら、プロに相談して解消しよう
以上、この記事では、ドル建ての保険の加入にベストなタイミングはあるのか、ドル建て保険への加入を検討する際にチェックいただきたいポイントについてご紹介しました。
冒頭でも述べたように、基本的には保障が必要になった時が、保険への加入を検討されるベストなタイミングになり、最も重要なことは保険料の総支払額と保障額のバランスです。
「せいほの窓口」では、FPと宅建資格を所持する生命保険のプロがおひとりおひとりのライフプランを丁寧にヒアリングし、ドル建て保険の加入のタイミングに対する不安や疑問を解消するお手伝いをさせていただきます。
ドル建て保険について、興味はあるけれど疑問や不安をお持ちでしたら、ぜひ、お気軽にご相談ください。既にご加入されているお客様のご相談も大歓迎です。