高額療養費制度があれば民間の医療保険は必要ない?高額療養費制度の仕組みと申請方法、注意点について解説

公的医療保険のひとつの制度として、高額療養費制度があります。

この制度を利用すれば、医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、ひと月の上限額を超えた場合に、その超えた金額分を支給してもらうことができます。

この記事では、高額療養費制度の仕組みと申請方法、注意点について解説しています。高額療養費制度があれば、民間の医療保険への加入は必要ないのかどうかも併せて検証しています。

この記事を書いた人

心くん

早稲田大学卒業後、不動産と保険業界で12年以上経験を積む。
宅建/FPの専門知識と各業界の経験をいかした無料家計簿診断が大人気。

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目次

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、手術や入院の際の治療費の経済的な負担を和らげるための仕組みです。
以下、制度の概要と自己負担の上限額についてみていきます。

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、ひと月(月の初めから終わりまで)の上限額を超えた場合に、その超えた金額分が支給される制度です。

日本では、公的な医療制度として国民皆保険制度があり、国民全員で病気やケガをしたときの医療費の支出を支え合っているため、病院で治療を受けた際に窓口で支払う金額は、3割程度に抑えられています。

しかし、手術や入院で医療費が高額になると、経済的な負担が大きくなる恐れがあります。

高額療養費制度はこのような場合に、家計への負担を和らげるための仕組みになります。

自己負担の上限額

高額療養費制度で定められている自己負担の上限額は、年齢や所得によって変わります。

会社員や公務員の方の場合は標準報酬月額、自営業の方など国民健康保険に加入されている方の場合は、課税所得が基準となります。

下記の表は、厚生労働省のウェブサイトで公開されている、69歳以下の方の場合の自己負担の上限額になります (2023年10月現在)。

<69歳以下の方の上限額>

適用区分ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超252,600円+(医療費-842,000)×1% 
年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円国保:旧ただし書き所得600万~901万円167,400円+(医療費-558,000)×1% 
年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円80,100円+(医療費-267,000)×1% 
~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下57,600円
住民税非課税者35,400円
厚生労働省:「高額療養費制度を利用される皆様へ」

一般的に、標準報酬月額や課税所得が多くなると、自己負担上限額も上がります。

さらに高額療養費制度を活用するには

高額療養費制度をさらに活用するための、いくつかの仕組みについてご紹介します。

限度額適用認定証の交付を受ける

まず、加入している健康保険組合や自治体に、限度額適用認定証を交付してもらう方法があります。

高額療養費制度は、窓口で一時的に高額な医療費を支払う必要があり、払い戻しを受けるまでの期間を考えると3ヶ月程度かかる場合もあり、その間経済的な負担となります。

あらかじめ、高額の医療費の支払いが見込まれる場合、認定証を交付しておけば、窓口で高額の医療費を立て替える必要がないため、1ヶ月分の支払いを自己負担限度額に抑えることができます。

世帯合算で医療費を計算する

世帯の構成員全員が同じ公的保険に加入していた場合、月の医療費を合算して高額医療費の支給を受けることができます。

例えば、父・母・子の3人家族で、父は国民健康保険、母と子が被用者保険に加入していた場合、母と子の医療費は世帯合算することができます。

多数該当の制度を利用する

過去12ヶ月の間に3回以上自己負担の上限額に達している場合、「多数該当」となり、4回目から自己負担の上限額が引き下げられます。

世帯合算の場合も、多数該当の仕組みを利用することができます。

 加入している健保の補助金を申請する

一部の健保では、自己負担の上限額の一部を補助金として給付してくれる場合があります。

医療費が高額になりそうなときは、ご自身が加入している健保の制度を一度確認しておくことをおすすめします。

高額療養費制度の申請方法

続いて、高額療養費制度の申請方法について確認していきましょう。

高額療養費制度を事前に申請する場合

事前に医療費が高額になることがある程度予測できる場合には、先述した限度額適用認定証の交付を受けることによって、窓口で医療費を立て替える必要がなくなります。

なお、70歳以上の方の場合は、窓口で「高齢受給者証」を、75歳以上の方は「後期高齢者医療被保険者証」を提示すればよいので、認定証の交付を受ける必要はありません。

 高額療養費制度を事後に申請する場合

高額療養費制度を事後に申請する場合は、窓口で一旦すべての医療費を支払ったあと、加入している公的医療保険の指定する手続きに従って、自己負担の上限額を超過した分の金額を請求します。

高額療養費制度の注意点

最後に、高額療養費制度を利用する際の注意点について見ていきましょう。

収入によって自己負担上限額が変わる

まず最初に、1-2の表で確認したように、自己負担の上限額は収入によって大きく変わります。

年収が高い方の場合は、自己負担の金額も大きくなるので、経済的な負担になることが考えられます。

月をまたいで合算できない

高額療養費制度はあくまで、「月の初めから終わりまで」をひとつの期間としてカウントするので、月をまたいだ合算はできません。

合算ができないので、長期の入院になると、毎月自己負担の上限額を負担することになります。

入院と外来は合算できない

高額療養費の支給の申請は、1) 受診者ごと、2)医療機関ごと、3)医療ごと、歯科ごと、4)入院ごと、外来ごとにそれぞれ分類して行うというルールがあります。

そのため、入院と外来が合算できないだけではなく、転院したり診療科が変更になったりした場合にも、合算することができない点に注意が必要です。

高額療養費制度の対象とならない費用がある

最後に、差額ベッド代や先進医療にかかる費用、入院中の食事代や通院時の交通費などは、高額療養費制度の対象にはならないという点にも注意が必要です。

入院や治療が長期化すると、治療費以外にも様々なお金が必要になります。

民間の医療保険に加入しておけば、このような高額療養費制度の対象とならない費用を補填することができ、安心して治療に専念することができるというメリットがあります。

これまで見てきたように、高額療養費制度を利用すれば、月のはじめから終わりまでの治療費の負担を自己負担上限額に抑えることができます。

まとめ:高額療養費制度があれば民間の医療保険は必要ない?

一方で申請にはルールがあり、月の合算や転院した場合の合算は原則認められないので、注意する必要があります。
また、収入が多くなれば、自己負担上限額も増えるので、経済的な負担となる可能性もあります。

民間の医療保険に加入しておくことで、ご自身の負担額や高額療養費制度の対象とならない費用について悩むことなく、治療に専念することができます。

「せいほの窓口」では、FPと宅建資格を所持する生命保険のプロがおひとりおひとりのライフプランを丁寧にヒアリングし、医療保険への加入も含めて最適なご提案をさせていただきます。ぜひ、お気軽に無料相談予約よりご相談ください。

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