ケガや病気で長期間働けなくなった際に必要な給付金額や保険期間は、働き方やライフステージによって大きく変わります。
この記事では、就業不能状態保険に加入する際の注意点について、保険のプロの視点で解説します。
就業不能状態保険とは
就業不能状態保険とは、病気やケガで長期間働けなくなった場合に、収入を保障するための保険です。
厚生労働省の「令和3年 国民生活基礎調査 – 世帯収入」によると、全世帯1か月あたりの平均収入は約36.7万円なので、なんらかのかたちで毎月およそ36万円程度の収入を維持しなければなりません。
会社員や公務員であれば、一定期間、給与の3分の2にあたる金額を「傷病手当」として受給できます。
また、傷病手当の受給期間を過ぎた場合、所定の条件を満たしていれば、国民年金に加入している場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入している場合には「障害厚生年金」を、それぞれ受け取ることができます。
実際に受給できる金額は、加入年数や年収等によって大きく変わるので一概にはいえませんが、ほとんどの場合、就労していた時と同じ収入を維持することは困難です。
就業不能状態保険の選び方
それでは、就業不能保険を選ぶ際にはどのような点に気をつければよいのでしょうか。
具体的には以下の2点が挙げられます。
必要な給付金額は働き方によって異なる
まず、必要な給付金額について考えてみましょう。
「不足すると予測される部分を保険で補う」という保険の基本的な考えに沿って、自営業、会社員・公務員の方がそれぞれいくらぐらい必要になるのかを解説します。
自営業やフリーランスの方の場合
まず、自営業やフリーランスの方の場合、働けなくなった場合に、公的保険でただちに支給されるものはありません。
働けない期間が1年6ヶ月継続し、所定の条件を満たした場合、障害基礎年金を受け取ることはできますが、それまでの間の生活資金を工面する必要があります。
会社員・公務員の方と比べ、給与天引きで手厚い公的保障が受けられるような仕組みがないので、自助努力で備える必要性が高いということを理解しておくことが重要です。
会社員・公務員の方の場合
一方、会社員・公務員の方の場合は、働けなくなると一定期間傷病手当が受給できるなど、公的保険の恩恵に与ることができます。
傷病手当では、給与のおおよそ3分の2が支給されるので、残りの3分の1を補えるように給付金額を設定するとリスクを減らすことができます。
ライフプランに合わせて保険期間を設定する
つぎに、保険期間について考えてみましょう。
他の保険と同じように、就業不能状態保険に関しても、保険が適用される期間を選択することができます。
保険期間を設定する際には、大きく分けて2つの考え方があります。
子育て等目的に合わせて保険期間を設定する
ひとつめは、子育てなど、お金が必要になる期間に合わせて、保険期間を設定する考え方です。
例えば、住宅ローンの払込期間や子どもの大学進学など、まとまったお金が必要な期間があらかじめ明確になっている場合には、その期間に保険金を受け取ることができるように保険期間を設定して、収入減に備えるという考え方になります。
就労している期間に合わせて保険期間を設定する
ふたつめは、働き始めてから退職するまでの間を通じて、保険期間を設定する考え方です。
特に夫婦のどちらか一方が世帯年収の多くを担っているようなご家庭の場合、主に世帯年収を得ている人が働けなくなってしまうと、世帯年収は極端に少なくなってしまいます。
このようなご家庭の場合には、退職のタイミングに合わせて保険期間を設定するのも、選択肢のひとつになります。
精神疾患が給付対象かどうか確認する
最後に、就業不能状態保険を選ぶ際には、精神疾患が給付対象かどうかをあらかじめ確認するようにしましょう。
うつ病や統合失調症などの精神疾患は、入院・療養が長期にわたるケースが多いですが、保険会社によっては、うつ病や統合失調症を保障の対象としていない場合もあります。
精神疾患の保障があったとしても、なかには支払い限度回数があらかじめ決められているものもあるので、支払要件についてよく理解してから加入しましょう。
プロが教える就業不能保険に加入する際の注意点
最後に、保険のプロの視点から、就業不能保険に加入する際の注意点を3点お伝えいたします。
自営業やフリーランスの方の場合:問答無用で加入をおすすめ!
まず、自営業やフリーランスの方には、問答無用で就業不能状態保険の加入をおすすめいたします。
先述のように、自営業やフリーランスの方が働けなくなった場合、その翌日から利用できる公的保険はありません。
事業をやられている場合、ご家族の生活費に加えて、従業員の給与や、事業を継続していくための資金も必要になります。
就業不能状態保険に加入することで、働けなくなった場合の経済的負担を和らげることができます。
会社員の方の場合:勤務先の団体保険で同様の保障がないかチェック!
つぎに、会社員の方の場合は、ご自身がご家族の経済的な担い手である場合、働けなくなってしまうと収入が激減してしまう恐れがあり、自身の療養費もかかる可能性もあります。
リスクを軽減する目的で、就業不能状態保険を検討されるといいでしょう。
勤務先で加入できる団体保険を一度確認してみましょう。
団体保険は、個人で加入する場合よりも保険料が割安になる可能性があります。
ただし、多くの場合、年齢によって段階的に保険料が上がることが多いです。加入の際は、会社からもらうパンフレットをよく読むことをおすすめします。
また、団体保険に加入される場合においても、保険のプロに相談をし、ご自身にあった保険内容かどうかよく検討しましょう。
保障の内容が商品によって多岐にわたるので、支払い条件をよく理解する!
最後に、就業不能状態保険の保障内容は、保険会社によって異なります。
特に、「就業不能状態」の定義や条件、免責期間(保険が受け取れない期間)は必ず確認しておきたいポイントです。
支払い事由についてよく理解せずに、保険に加入してしまうと、万が一のときにせっかく加入した保険の恩恵を受けられないこともあるので、迷ったら保険のプロに相談しましょう。
まとめ:自営業やフリーランスの方は、就業不能状態保険への加入をおすすめ
以上、保険のプロの視点から、就業不能状態保険に加入する際の注意点についてお伝えしました。
繰り返しになりますが、自営業やフリーランスの方の場合は、会社員の方と比較して、公的保険の恩恵を受けることができないので、ご自身で万が一働けなくなった場合の経済的なリスクに備える必要があります。
「せいほの窓口」では、FPと宅建資格を所持する生命保険のプロがおひとりおひとりのライフプランを丁寧にヒアリングし、医療保険への加入も含めて最適なご提案をさせていただきます。ぜひ、お気軽に無料相談予約よりご相談ください。